北極星 vol.3

オリジナルイオンの話

「・・・寒い・・・暖かい、・・・暗い・・・明るい。」
「そうだよ!よく覚えたねアリエッタ。凄いよ。」
イオンは短期間で形容詞まで覚え始めたアリエッタを手放しで褒めた。えへへ、とアリエッタも嬉しそうだ。
「それでね、他の人・・・あ、えーっと、あまり話したことの無い人・・・じゃなくて・・・まぁいいや、他の誰かにそれを伝える時は、言葉の最後に“です”をつけるんだ。」
「・・・。」
アリエッタにはイオンの言葉も、まだ時々聞き取れないことがあるらしい。


「ええとね、例えば・・・」
と言ってイオンはアリエッタの口調の真似をした。
「寒い、です。暖かい、です。暗い、です。明るい、です。」
「!」
自分の放った言葉に「です」がついて返ってきた事が、彼女には驚きと同時に喜びをもたらしたようだ。


「寒い・・・です、暖かい・・・です、暗い・・・です、明るい・・・です!」
「そうだ!いいぞアリエッタ。」
嬉しそうに自分の頭を撫でてくれたイオンを見て、きゃっきゃっとアリエッタは喜んだ。 そして今度は自分とイオンを交互に指差しながら言った。

「アリエッタ・・・です。イオン・・・様・・・です。」
「その調子。」
「アリエッタ・・・です!イオン様・・・です!好き・・・です!」
「!」
今度はイオンが驚く番だった。

「・・・・・・。」
イオンが喜んだ顔をしなかったので、アリエッタは不安そうな顔になった。
「─あ。ごめんごめん。ちょっとびっくりしちゃった。」
アリエッタに笑顔をむけてイオンは続けた。

「どうもありがとう。嬉しいよ、アリエッタ。僕もアリエッタが・・・。」
そこまで言ってから、イオンは慌てて言い直した。
「イオンです、アリエッタです、・・・好きです。」

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