Flowers~魔界の花~ 序章

序章 ED前ティアの話

この子達に、私は何度癒されてきたことだろう。
ティアはぼんやりと、自室の庭に咲くセレニアの花の群れを見つめていた。
最初に兄さんにもらった時はたった一輪だけだったけれど、今はこうして
咲き乱れるほどに何株にも増えてくれた。

外郭に咲く花々は、魔界(クリフォト)ではほとんど育たないというのに、
この花だけは違ったのだ。彼女が治癒術と愛情を施す事によって日々、
1つ、また1つと花を増やし続けていったのだった。

あなた達はずっと見続け、受け止めてくれていた。
兄さんとの決別も、私の決心も、
そして彼の新たな決意も。

クリフォトの暗い闇の中ででも、その存在を主張するかの如く
明るく、何もかも照らし出すように発光し、かぐわしく匂う花達。
そして彼らは「あの場所」にも咲いている。
そう、彼と最初に降り立った場所、タタル渓谷。

いつか・・・そう、いつか、戻るときに
彼が迷わないように。
彼がすぐ見つけられるように。
まるで道筋をつけてくれているかの如く。

私、いつまでも、待っているから。
必ず帰ってきて。この子達の元に。必ずよ・・・。
ティアは白く浮かび上がる花の中で祈り続けた。

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